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自分が他人を演じ、自分自身を語ることで内省を促す


 先週、当社で懇意にさせていただいているプロの俳優の方に来ていただき、演劇的手法を用いたワークショップを行いました。
 今回の主目的は、他者理解、自己理解です。

 人は自分の価値観で人の行動を評価し、また自分の行動を正当化します。そのような思考は、起こっている事の事実を正確に捉えることを妨げるだけでなく、今の時代に益々求められている、チーム力で仕事の成果を出す際の妨げにもなります。

 私も含め多くの方は、頭では他者理解の重要性、かつ自己理解の重要性は理解しています。しかし自分のことは自分が一番わからないため、理解している重要性とは裏腹に、実際の行動は自己本位に陥る、しかも自分が好まない状況になると、その傾向は極大化してゆきます。

 そのような思考状態の人が集まっても、建設的な意見交換は望めません。最悪の場合、「他者に責任を押し付ける」、「現場から逃避する」、「主張を強要する」などの気持ちが芽生え、その場は崩壊してしまいます。

 今回のワークショップでは、そんな気持ちの人を自分が演じることで、間接的にその人(他者)を理解します。

 新鮮だったのは、普段の自分と異なる人格を持った人を演じると、これまで自分がそのような人に対して抱いていた感情的違和感に伴う行動・言動が、その人にとってはありがた迷惑であり、相手から見ても自分に対し感情的違和感があるということを強く実感できたことです。

 仕事の段取りを決める場合は、論理的な正当性を議論としてぶつけ合えば、基本的には結論は見出すことが出来ます。しかしほとんどの仕事はそうですが、唯一の解が無いことに対し臨む場合は、人の価値観・心情なども含め、結論を見出さなければ合意は得られません。

 ワークショップの中でも改めて感じた、人と接する時に大切なことは、次のようなことです。
・自分は、相手が意図していることを理解できているのか?
・相手の理解に対し、自分が理解したことを正確に相手に伝え、相手の理解に対する確認・合意は得られているのか?
・その上で、自分が思っていることと相手が意図していることの相違と理由を、正確に伝えられているのか?
・最後に、自分が伝えたことを相手が正しく理解できていることを、自分は相手に確認できているのか?

 最後に、一番難しいと思われる自己理解です。

 その方法として、次のようなやり方を学びました。

 まずは最低2人でペアを組みます。

 そして次のような配役となり、質疑応答します。

Aさん
普段身近にいる他人(Bさん)を自分(Aさん)が演じ、その他人が自分のことを語る。

Bさん
Bさんに対し、Aさんのことがどのように見えているのかを質問する。

 自分が他人になり、自分のことを語るのはなかなか勇気が入ることかもしれません。しかし素直に語ることで、自分が他人からどのように見えているのか、その一端を垣間見ることができる実感を、このワークショップで感じました。

 あと1ヶ月強で、2013年も終了します。年の瀬に向けて、新たな2014年を迎えるためにも、内省に取り組みませんか?

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竹内博樹
1991年 筑波大学卒業後、三和銀行のシステム子会社である三和システム開発株式会社(現、三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社)入社。同社にて銀行業務のリテール、法人、国際の各分野において、大規模プロジェクトにおける企画・設計・開発に、主にプロジェクトマネジメントを実行するマネージャとして携わる。また開発後の保守にも従事するなど、幅広い業務でマネージャとして活躍。2004年より当社にて、大規模プロジェクトにおけるPMOの運営およびプロジェクトマネジメント支援や、IT部門の組織改革等、幅広くコンサルティングを手がける。 保有資格:情報処理 プロジェクトマネージャ、PMPほか。PMI会員、PM学会会員。

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