10月下旬、わが社が関係したインターナショナルなカンファレンスにおいて、逐次通訳をご依頼した方と接し感じたことを、今回のブログのテーマにします。
これまで通訳とは、例えば講演者が発した英語を日本語に適切に訳す黒子であり、その業務を淡々とこなすことが仕事だと思い込んでいました。
しかし今回ご一緒した方は、そのようなスタイルで通訳をするだけではなく、漫才の相方のように、講演者と一緒に壇上に立ち、一緒に動き回りながら通訳業務をこなしていらっしゃいました。
「講演者が伝えたいメッセージは、如何にすればより聴講者に伝わるのか? そのために自分が出来ることは何なのか? 講演者と事前に合意した上で、全力でパフォーマンスを発揮しよう!」という想いを、私は感じました。
通訳業は、講演者がライブで話す意図も含み正確に把握し、それを適切な言葉で翻訳する仕事です。そのためには、講演者の話しに相当な気合で集中しなければならないため、多くの方は席に座り、一言一句聞き漏らさないようなスタイルで取り組んでいらっしゃいます。しかし今回通訳をご依頼した方は椅子には座らず、講演者と一緒に壇上に立っていらっしゃいました。
立つということは、講演者が何を話そうとしているのかを徹底的に頭に入れた上で自分のものにする必要があります。その上で当日、講演者と事前の打合せをする中で、あたかも講演者の分身であるかのようなイメージを自分自身に植え付け、その上で登壇する・・・
プロフェッショナルな方だと思ったのは、今回のブログのテーマに書いた『守破離』が出来ていると感じたからです。
・相手が話そうとしていることを、まずは通訳者として正確に理解する『守』
・そして理解したことを自分が講演者であるかのごとく、とことんイメージする『破』
・最後に、講演当日、講演者と講演の内容および講演で聴衆に伝えたいゴールを共有したうえで、最適なパフォーマンスのあり方を相談し実行する『離』
しかもプロフェショナルな方は妥協を許さないため、その『守破離』は、まるでPDCAのサイクルを回すことと同じように、セミナーごとに、『守』⇒『破』⇒『離』⇒『守』⇒『破』⇒『離』⇒『守』・・・・を繰り返し、より良いパフォーマンスを発揮できるよう、日々努力を積み重ねています。
まるで舞台俳優のようである、と思いました。
そのようなプロフェッショナルな方に接すると、身が引き締まる感じがします。
さて来る12月10日(火)、東京・麹町においてわが社のフォーラムを開催いたします。テーマは『ITプロフェッショナルとして企業変革に貢献する!「チェンジリーダー」として自ら岩を押そう!』です。
このフォーラムで、今回ご紹介した通訳の方にもご活躍いただく予定です。
講演内容、および通訳の方の取り組み含め、ぜひご来場ください。
(追伸:『ウィキペディア』より)
守破離(しゅはり)は、日本での茶道、武道、芸術等における師弟関係のあり方の一つ。日本において左記の文化が発展、進化してきた創造的な過程のベースとなっている思想でもある。
まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修行が始まる。その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」。最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から自由になり、型から「離れ」て自在になることができる。