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 「できるということ」


 できるための前提条件は、「分かる」ということである。
 しかし、世の中には、できるようになりたいがために、やり方に固執し、やり方のみを習得したがる人が多い。やり方の学習をすることは、意味がないわけではないが、やり方の学習だけでは、応用は、利かない。時間を節約し、ダイレクトにできるところに到達したいということは、人情として理解できるが、そもそも、何のために何かをできるようになりたいかを理解するところから始めると良い。おけいこ事や会社でのスキルアップは、とても重要であるが、身に付け自分のものにすることについて、自分の中でどれほど深く分かっているかが、より、大切だと思う。

 私は、深く「分かる」ためには、その対象に、そもそも、関心、興味を持つことが肝心であると考えている。そもそも、関心がないことを一生懸命取り組むことができないし、ある程度の深さで考え、理解してから、徐々にやり方を学習・訓練を積んでいくことが「よくできるようになること」の条件だと思う。
 時には、好きかどうかを確かめるために、一部を体験してみるのも良い。人は、一生に間にいろいろなことに挑戦するが、何もかも一流になれるような人はいない、何をできるようになりたいかについて絞り込む必要がある。

 できるようになることは、好きで関心があることであり、関心があるので、情と論理の両方で理解できるようになり、本当にできるようになるのだと思う。
 誰でも好きなことで世の中のためになることが見つかれば、一生かけて努力を続けることができる。そうなれば、実践と考えることの繰り返しである。繰り返しが利くようになれば、どんどんうまくなるし、深く本質まで理解が進む。情が伴い「分かる」ことが、できるようになる元になっていくのだ。

 皆さんの「一生かけても“できるようになりたい!”」ことは、なんだろうか?

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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