思えば遠くへ来たもんだ。
私が、アイ・ティ・イノベーション創業を検討し、実際に会社を設立した時期(1990年代後半)は、バブル崩壊の影響が、まだ日本経済に残っていた。なぜ、この悪い時期に創業する必要があるのかと人に訊かれたこともある。振り返ってみると、経済的にはいまひとつの時期ではあったが、企業には余力があり、挑戦意欲が十分で元気な人は多くいたと思う。私たちは、そのような元気な人たちと、様々な改革の話をしてきた。その人たちが、勇気を出して名前も実力もない我が社の応援をしてくれたと思う。私は、我が社の設立のタイミングは良かったのではないかと思っている。
また、90年代後半から数年の間は、大企業のIT部門にはまだまだ新たなことに投資する資金が存在した。このような環境を背景に、わが社は、プロジェクトマネジメントの方法論とソフトウェア・エンジニアリングを基盤として、多くの挑戦的なプロジェクトに参画させていただくことができた。PM方法論、開発方法論を活用するコンサルティングビジネスは、ユニークであると同時に、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)普及期とも重なったこともあり、多くのPM関連の仕事をさせていただいた。大変ありがたいことである。概ね、2006-7年ごろまでは、同様の形で仕事をさらに発展させてきたのだと思う。
しかし、リーマンショック、東日本大震災のころから、企業には投資できる資金が少なくなった。同時に、日本経済全体が、いっそう停滞し、人々にチャレンジ精神が少なくなってきた。よほど新たな価値を生むような工夫がなければ、企業は振り向いてくれない状況になった。
この時期に、我が社が挑戦したことは、BABOK(Business Analysis Body Of Knowledge)を活用した超上流(IT構想企画)コンサルティングや教育プログラムの開発リリースである。加えて、企業のグローバル化に対応した、インド及び中国においてグローバル人材育成を行う様々なプログラムの開発と現地での実施である。
上流、PM、エンジニアリングのコンサルティングと様々な教育プログラムについては、一応の形にすることができた。
しかし、今、次の時代に対応するために、大きく土台からの変革を必要としている。
2010年代のチャレンジは、何であろうか?キーワードはいくつかあるが、私は、以下の3つが重要だと考えている。
組織のあり方が、変わろうとしている今、従来からの常識が通用しない時代が到来する。トップダウンの組織コミュニケーションの構造が変化する。つまり、コ・オペレーション(役割責任の分割統治型)からコラボレーション(協同型)へのコミュニケーション構造が変化する。また、人口動態の変化(老齢化・少子化)と同時に様々な形での就業形態を創出しなければならない。また、急速なグローバル化は、新たな価値構造を生み出す。
さらに、ITについては、クラウドコンピューティングなどを新しいITを活用する新たなビジネスモデル、サービスを創出しなければならない。そのために重要なことは、正当化されたITアーキテクチャの体系的な理解と新しい思考でのサービス体系化が、肝になる。そのカギを握る職業は何であろうか!それは、ビジネスが、わかるITアーキテクトの養成である。
これからの数年間に、新しい働き方、新しいコミュニケーション方法などの社会変化と、今までのITサービスが、がらりと変わるIT技術基盤変化が同時に起こる。私は、これらの変化は、社会にとって必要必然であり、楽しく、明るい未来を創るために必要な活動だと考えている。
アイ・ティ・イノベーションは、お客様と一緒に、これらの変化にたいして挑戦したいと考えている。
さて、来る6月6日ITIフォーラム名古屋は、まさに、このブログで述べた新しい、これからの10年に応えるための企画である。
本フォーラムのメインテーマは、コミュニケーションの変化にどの様に対処し、プロフェッショナルとしてどのようにすれば成功できるのか?これらの重要な課題を素晴らしいゲストと共に議論し、方向性を見出したいと考えている。
私自身も最後のパートで登壇し、私なりの未来を創るための意見を述べさせていただくつもりである。
皆様の心からの参加を社員と共にお待ちしております。