私は、いつからゴルフが、生活の一部になったのだろうか? 定かではないが、5年ほど前には、そのような状況になっている。
私が、ゴルフ場へ始めて行ったのは、1985年の夏で、ロンドン郊外にあるPLゴルフクラブである。何しろ初めてであった。プレー日の数日前に、英国の駐在員に無理やり練習場へ連れて行かれ強制的なコースデビューをした。スコア-は、140ほどであったと記憶している。その後、10回ほどロンドン郊外のゴルフ場を中心に繰り返しコースへ通い、10回目ぐらいには、120を切るようなスコアになった。帰国した後、日本でのゴルフ事情を知り、ロンドンで知った楽しいゴルフとは大違いの堅苦しい日本の付き合いゴルフに年数回参加するようになった。
ゴルフを始めて10年以上は、あまり楽しめない付き合いゴルフが続いた。でも、そんなゴルフでも18ホールをラウンドするうちに2回や3回は、ナイスショットが出る。いわゆる“110の王”を10年以上続けてきた。“110の王”ゴルフは、ちゃんとゴルフを知っているわけでもなく、知らないわけでもない大変居心地の良い領域でもある。日本のゴルファーの70%以上は、ここにいるようだ。
90年代中盤に入り、私は、後輩のすすめでヨットを始めた。1995年から2000年ぐらいまでは、一生懸命、ヨットをやっていた。始めた年は、自力で一通りのことができるよう20数回乗った。その年の内に20数回は、ほとんど毎週といってよいほど海に行っていた。私が、購入したヨットは、軽量の一人乗り競技用ディンギー(ヤマハのシーホッパー)である。三浦半島の先端にある三戸浜海岸にその小さな船を置き、3年ほど船に夢中になっていた。シングルハンド(一人乗りで一枚セールの軽量ヨット)は、組み立て、操船、片付けを一人で行う。動力が風だけの船が、風を受け、風上へ上ってゆく。同じ海でも季節や天候により様々な変化をする。自然の中で風の力だけを頼りに海岸から数マイル先に一人旅だ。40代になって、ゼロから始めた船の世界は、楽しかったし、やればできるという自信がついた。
その後、1998年にアイ・ティ・イノベーションを起業した。少人数だったので大変ではあったが、楽しく仕事をしていたが、社員を抱えている社長が、けがのリスクのあるヨットを続けるわけにはいかなくなった。友人の助言もあり、ヨットは、休止することにした。
ちょうど、同じタイミングで、先輩のIさんから気軽に行ける良いゴルフ場を見つけたので、一緒に行ってみないか!というゴルフへのお誘いがあった。当時でも今でも東京でゴルフと言えば1日仕事で、プレー以外に早朝、渋滞での帰り道は、うんざりする。Iさんが、紹介してくれたのは、東京の北区にある赤羽ゴルフクラブである。なんと電車で行ける都心近くに18ホールが立派にあるゴルフ場があるではないか!!!10年程前にゴルフを再開することになったきっかけは、赤羽ゴルフである。それ以来、赤羽には、年に7-8回は、プレーしている。10年前相変わらず不動の“110の王”であったが、回数が年に20回以上に増えたことと、同じゴルフ場へ、ほぼ同じメンバーと行くことになったために、私のゴルフの目的は、楽しむこととゴルフ後の飲み会からゴルフのスコアと質の向上に向かうようになっていった。一つ上のゴルファーを目指すということは、これまでのゴルフに対する見方、考え方を変えることであり、変化することは楽しいことだ。
会社を起業した直後から始めた私主催のゴルフコンペも20回以上になり、ゴルフと仕事の付き合いもここ10年間で急激に増えた。数年前に千葉の市原にある鳳琳カントリーのメンバーになり、23のハンディーが、現在、やや向上し16になっている。今現在、ハンディー12から13を当面の目標にしているが、私にとってこのハンディーの壁は、大変厚いが、何とか近づけるよう努力中である。コースマネジメントの重要性や決断と切り替えができないと達成は難しいだろう。
会社が成長し、規模や売り上げが増えるとマネジメントのやり方、質を変革させなければならなくなる。経験と理論を両立させることが必要である。ゴルフは、経営に似ているので、経営者に人気があるのだろう。そして、重要なのは、勇気と決断と責任を持つことが、今日の経営、今日のゴルフを充実させる。10年前の私にとってゴルフは、遊びであり、付き合いだったのが、今では、違うものに変化しこのようなエッセイも書いているのは、自分としては信じられないことだ。
今まで私は、ゴルフを世界で躊躇することなく行っている。日本、英国、アメリカ、カナダ、シンガポール、ベトナム、マレーシア、インドネシア、タイ、インド、香港、中国、台湾、グアム、サイパン、など10か国以上で楽しんでいる。世界には、素晴らしいゴルフ場が多くあり、様々な考え方で、文化を反映した運営がされている。ゴルフは、経験であり、人間の心を豊かにする面を持っている。
年間のラウンドも50回以上を目標にしている。目標には、絶対的なスコア-も重要であるが、累計の記録も近年重要になってきた。累計には、年数がかかり、達成するためには、いろいろな努力を要する。
今後、世界中の人たちと仲間になり、ビジネス同様、ゴルフを通じた付き合いを大切にしたいと望んでいる。
次回へ続く
110の王:スコア-が、110前後のただゴルフをやっているだけのゴルファー。アベレージで100を切るようになり、110の王から平均的なゴルファーに成長する。
鳳琳カントリー:平成元年開場の典型的なバブル期のゴルフ場、一昨年まで日経実業団のゴルフの会場として有名。