よく中国やインドなど文化の違う国との企業間のトラブルの話を耳にする。なぜだろうか?どのようなことが原因でうまくいかなくなるのだろうか考えてみた。確かに、国による文化の違い、習慣の違いがあるに違いない。そもそも、企業と企業の関係がうまくいっている状態とはどのようなものなのだろうか。本質を考えてみよう。
国と国、会社と会社、組織と組織の信頼関係の本質とは何か?すべて、形式の世界だといえる。どのような形式の関係にも人が介在することは明らかだ。私は、本質は、人と人との関係だと考えている。カルチャーギャップを超えて人と人とが繋がるということを追及していくと以下の点に行き着く。
・相手が、好きかどうか
・本心が伝わっているかどうか
・約束を守れるかどうか
・真摯で正直に相手に接しているかどうか
どのような形式的な関係でも当事者はいる。実は、当事者同士の問題なのだと私は思う。組織のマネジメントが、作為的に自分たちの利益のために提携先を利用しようとする場合もあるだろう。その場面でも当事者は、存在する。作為的なマネジメントに忠実に当事者が、動く。相手から見れば、バレバレである。結果として形式的に仲良くしたふりをしても本来あるべき信頼関係がなければ意味はない。
「信頼関係」は、文化の違いを超えた次元で存在する。正直な信頼構築が先で、次に、互いに違うということを理解しあうことだ。
文化的な違いは、一方の物差しで他方の文化を測ることではない。違うということを理解し、認め合うことだ。一方が良くて他方が悪いということではない。組織対組織の関係がうまくいかない場合は、常に、違いを善悪で判断しようとする。自分の論理を正当化して相手のことを非難する。このような形で当事者同士が対面した時に、善悪の問題がしばしば出てきてしまう。
当事者、マネジメントの両方が、文化の違いを本当に認め合った時、初めて関係はうまくいく。頭ではなく、心で思えるかどうかだと私は、考えている。主張より行動のほうが大切だ。
今、私が、社員と一緒に進めている中国とインドでのビジネスでは、正直な信頼関係構築に心掛けている。相手との信頼関係は、創るのには時間がかかるが、失うのは一瞬である。正直で真摯な継続性のある態度に勝るものはない。私にとっては、こころが、大事である。
インドでも中国でも真摯さに対する考え方は、まったく同じである。
インドでも中国でも時にやりあうことがあるが、こころで通じ合うものがあれば、何とか先が見いだせるものと私は信じている。
今の一緒にビジネスをやっているインド、中国のパートナーとは、長期的な信頼関係を基礎にしてさまざまなことを遠慮なく話ができる。また、一緒によく遊ぶ。成功している企業の間には、遊びの時間が自然に生まれてくる。信頼があって仕事があり、遊びがある。
つい数日前に7年ぶりに大連のIT企業の社長にあったが、ずっと友達のような気がしている。フランクに何でも話せる関係である。
私は、グローバルでもドメスティックでも関係なく、何事もシンプルに考え、行動するほうが良いと思う。
最後に、「真摯さ」文化の違い以前、「遊び」は、良好な関係のバロメータ。