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【第33回】まとめ-プロジェクトの状況をきちんと確認するためのポイント


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前回までプロジェクトの状況をどのように「確認」すべきかを見てきました。

確認の目的は、プロジェクトの計画に対する実績を把握し、差異が発生している場合や、今後差異が生じる可能性がないかをチェック、早めに対策を講じていくことです。
今回はこれまでに挙げた確認の主なポイントを振り返ってみましょう。

全体的なポイント

‧ 確認のための手順やルールは、計画の段階であらかじめ準備しておくべきです。最終的な「振り返り」の際にはプロジェクトの作業期間を通じての実績データが必要になりますので、実作業開始とともに情報が収集されるようになっていなければなりません。
‧ 準備した手順やルールは、プロジェクトのメンバーに対して十分に周知しておきます。通常は、プロジェクトのスケジュールや体制などの計画内容と併せ、「キックオフミーティング」で説明します。
‧ 手順やルールを検討する際には、“正確”かつ“効率的”に確認が行えるようにしておくことがポイントです。精度の高い情報がなければ的確な判断ができませんし、だからと言ってあまりに複雑な方法だと負荷が大きくなり、ルールが形骸化してしまう原因になります。このバランスを考慮して設計しましょう。

各確認項目のポイント

<作業の進み具合>
‧ 作業の進み具合は、例えば「4つの部品の2つ完成したので作業の50%が完了」などのように定量的に把握できるようにします。「大分進んでいる」とか「ちょっと遅れている」などの定性的な報告だと実状を掴めず、問題を見落としてしまう可能性があります。

<問題と対応状況>
‧ 問題に対して中途半端な対応策ばかり打っていると、どんどん未解決の問題が積み上がり収集がつかなくなります。有効な対応策を講じて確実に一つ一つの問題を潰していくことがポイントになります。
‧ 問題の原因を個人に押し付けていると、問題が起こってもタイムリーで正確な報告がなされなくなってしまいます。プロジェクト全体で問題を発見し解決していくという、オープンな雰囲気を作ることも重要です。

<メンバーの状況>
‧ メンバーの負荷状況やパフォーマンス、スキルの状況はもちろん、メンタル面やプロジェクト内の人間関係、他の関係者がプロジェクトに対して不満を持っていないかなど、プロジェクトマネジャーには幅広い視点で状況を把握し、フォローすることが求められます。

<品質>
‧ プロジェクトの最終的な成果物の品質を確保するためには、初期段階から品質の傾向を掴むための確認を行い、早期に是正を加えておくことが重要になります。
これは、こまめに味見をしながら料理を作るようなものです。完成後に「うわ、しょっぱい!」ということが判明してもなかなか調整は困難ですが、早めに気付くことで「じゃぁ、この後で煮こむ時の醤油を少なめにしてバランスを取ろう!」など手を打つことができるのです。

<コスト>
‧ コストは計画的に使わなければなりません。これまでに使ったコストと今後必要となるコストの見通しを把握し、プロジェクトの予算に収まるようコントロールします。

<変更の発生と対応状況>
‧ プロジェクトで共有している内容に変更が必要な場合は、「間違いなく」手続きが行われるよう注意しなければなりません。そのためには、変更可否の判断や変更後の周知などが適切に行われるよう、明確な手順とルールを定めて徹底しておくことが重要です。

<リスク>
‧ プロジェクトの実作業が始まってからも新しいリスクは出てくるため、プロジェクトが終わる迄継続的にリスクの状況を確認することが必要です。
‧ 放置すされたリスクは次々と顕在化して問題となり、後々苦しむことになります。重大なリスクについては、リスクの段階で十分な対策を講じ、早期に押さえ込んでおくことが重要です。

以上、振り返ってみていかがでしたでしょうか?
皆様の確認の手順やルール作りの中で、是非参考にしていただければと思います。

次回もお楽しみに!

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Profileプロフィール

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弘中 伸典
1994年、徳山工業高等専門学校情報電子工学科を卒業。 SIベンダーに入社後、数々のシステム開発の現場で活躍。そこで得た多くの経験に感謝しつつも、IT業界における構造的問題に一石を投じるべく株式会社アイ・ティ・イノベーションに参画。問題の原因は、プロジェクトマネジメントの欠如にあると考え、日々のコンサルティング業務を通じてその必要性を訴え続ける。 専門領域は、プロジェクトマネジメントおよびシステム開発プロセスの標準化、PMOの設置と運営、IT投資マネジメントなど。 責任と誠意を持って問題解決に取り組む姿勢を大切にしている。 PMP(Project Management Professional)資格 保有

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