日本でグローバル化が叫ばれて少なくとも40年以上が経過しているだろう。
・第一次は、ものづくりと品質でもって日本企業が次々と進出した時期
・第二次は、80年代以降に、金融力を持って海外現地化を進行した時期
・第三次は、今現在である。
今回のグローバル化動向は、少々事情が複雑である。人口動態から日本での市場が縮退すると同時に世界的な金融不安の状況下で、海外との協調を 求められている。日本企業の生き残り策は、ある程度明確になっているものの人の意識が我々の置かれている状況に追従できず混迷している。このような多様な選択肢の中で何かを決断するためには、並大抵の覚悟では、答えは出ないだろう。ここと決めたら勇気をもって決断し進むしかない。
物の消費は、景気の良し悪しよりも人口動態と連動していると言え、日本の高齢化の動向を簡単には変えることはできない。これは、明らかな事で、内需が縮退することによって、食品、飲料、化粧品メーカーなどは海外に市場を求めて買収戦略に出ている。また、経済活動が低迷し、生産が空洞化する状況下では、あらゆる産業の成長の機会は、望めなくなる。頑張ればよいという姿勢では、到底リカバリーは、望めないだろう。景気回復まで待つのも愚かな選択だ。今の日本は、20年以上初任給、給与は、変化がない状態で停滞気味であるが、海外の状況に比べれば、相対的に豊かであるといえる。それぞれの人が、それなりに豊かさを感じ、ある程度満たされている状況になると国民全体が、変化を嫌うようになる。自分に相当な力をかけて強いらなければ変化できないだろう。また、変化できたとしても幅は、小さい。第一次、第二次のグローバル化には、希望と活力と誇りが伴っていた。海外に学びながら劣っているところを克服しながら、グローバル化を推進して行ったのだ。つまり、日本人の意思が働いていたといえる。
これからの変化を実現するには、意志の力と強い動機付けが必要だ。「人間力強化」を伴って実行しなければならない。日本には、技術力や技術を獲得する十分な能力があるが、それを発揮するのは「人」そのものである。
私は、ここ数年間もの間、日本人のグローバル化のためのお手伝いをしてきた。数年前に、インドでカルチャショックを与え、ソフトウェアエンジニ アリングやプロジェクトマネジメントを基礎から3か月ほどに亘って学びなおした生徒たち(勿論、受講時に社会人5年生から10年生ぐらい)は、その後、人間的に成長し、立派にアウェイで活躍している。彼らは、異国の地で学んだ後も語学力を磨き、現場力を一段と向上させている。また、中国の大連では、中国語の訓練、中国・日本のクロスカルチャ、中国人、日本人の混成チームで1、2か月の課題にチームで取り組み、本当のアウェイでの現場力醸成を行っている。
私が、考えるアウェイで通用する現場力とは、以下のことを指す。
・自分とは何か、仕事とは何かを明確にし、ビジョン、目標を定義すること
・カルチャとは何か、価値観の違いを理解し、違う価値観が存在することを認めること
・仕事に必要な語学能力、コミュニケーション能力を身に付けること
・グローバルビジネスに携わることについての自信を獲得すること
・本当の専門力、現場で通用する専門能力を身に付けること
アウェイの地で、本物の実力を発揮するには、しっかりとした自分が存在し、ビジョンや目標が定まっていなけれならない。また、価値観の違いを認め、「違う」ことを尊重できることが、成果を生み出せるかどうかの原点になる。このことを、カルチャの異なる人とのコミュニケーション、一緒に仕事を行うことによって理解し、自信をつけることが、海外で学ぶということである。
これから先の日本では、人間力の畑を土深くから耕しなおし、土壌を変えなければならない。表層の語学や技術の問題ではなく、もっと根本的な課題に取り組まなければならない。
来る10月19日(ITIフォーラム2011 in 大阪)、12月7日(ITIフォーラム2011 in 東京)では、日本のアウェイ戦略を明確にし、皆さんと議論したいと考えている。
女子サッカーは、偉いね!!!