「プロジェクトマネジメント5つの誤解」ということで前々回、前回と少し寄り道となりましたが、今回は「段取り・確認・振り返り」の“確認”に戻り、プロジェクトにおいてコストの状況を確認する方法について見ていきたいと思います。
ご利用は計画的に!
コストの状況を確認する目的は、プロジェクトで支払うコストが最終的に予算内におさまるようコントロールすることにあります。
従って、ただ単にこれまでに使ったコストを集計して確認するだけではなく、その結果をもとに最終的なコストが予算をオーバーしそうなのか、それとも大丈夫そうなのか見通しを立てて、オーバーしそうな場合には対策を講じることが重要となります。
そのためには、プロジェクトの途中段階で「最終的なコストが予測できる」ようになっていることが必要です。
と言われるとちょっと難しそうですが、簡単に言えば「お金を計画的に使うための見方」であり、これは「お小遣いの管理の仕方」と基本的に同じ考え方なのです。
え?無計画な使い方をしているから月末はいつもスッカラカン?
まぁ、私も含めて、そのような方、結構いらっしゃるかも知れませんね・・・。
しかし、お小遣いの場合は底をついてもなんとか我慢して乗り切ることができますが、プロジェクトで予算が底をつくとその目的が達成できなくなってしまう可能性があります。
ここでは普段の行動を悔い改めつつ、計画的にお小遣いを管理している自分を想像しながら考えてみましょう。
お小遣いの計画的な使い方(1)
まず、定常的なコストが日々発生しているようなケースを考えてみましょう。
これは、例えばお小遣いの使い道が主に昼食代やジュース代などである場合です。プロジェクトであれば、日当を払って毎日アルバイトに作業をお願いしているようなケースが相当します。
このような場合、コストの状況はシンプルに確認することができます。
例えば、毎月のお小遣いが3万円で、今は支給日から10日経過しているとしましょう。
簡単ですね。これまでに使ったお金が1万円以下であれば順調、1万円を超えていれば使い過ぎですね。グラフにするとこんな感じです。
もし、10日が経過した時点で1万5千円使っていたとします。このまま使い続ければ20日目で全額なくなってしまう見通しとなりますね。その場合、残り20日間は1日あたり750円以内で節約して過ごす、頼み込んで追加のお小遣いをいただくなどの対策を講じなければなりません。プロジェクトであれば、作業時間を減らしてアルバイトへの支払いコストを下げたり、上司に予算額の追加を相談したりと言った対処方法を検討することになるのです。
尚、上の例ではすでに10日間が経過してしまっています。2~3日目でこの傾向がつかめればもっと対策が容易になるはずです。つまり、このようなケースでは定期的にコストの状況を確認して、差異が生じた(生じ始めた)際に直ちに対処を検討することが重要になります。
お小遣いの計画的な使い方(2)
次は、非定常的なコストを予算で賄うケースです。
これは、例えば主に書籍を買ったり、洋服を買ったりするためにお小遣いが渡されるような場合です。プロジェクトであれば、成果物を作るために必要な材料や工具を購入するために予算が必要となるようなケースです。
このような場合、あらかじめコスト項目ごとに予算を割り振っておき、コスト実績と比較して差異と見通しを確認します。
例えば、3万円のお小遣いを図2のように割り振っておき、これまでに使ったコストと比較します。
この表を見ると、トータルではまだ6千円の予算が残っていますが、書籍代を3千円使い過ぎていることが分かります。従って、他のコスト項目を予定通り使ったとすると、見通しは3万3千円となり、お小遣いが足らなくなってしまいます。
そこで、差異がプラスとなっている(まだお金を使い切っていない)項目に着目します。例では、洋服代(2千円)と飲み代(7千円)にまだ余裕があるので、このうち飲み代を4千円に抑えることで今月を乗り切る算段を立てる訳です。
こちらのパターンの場合、定期的にコストの状況を確認するのではなく、コストの支払い時に都度確認を行うことが基本となります。
具体的には、6千円の書籍を購入する際、上記のような計算によって見通しを確認し、予算をオーバーする可能性がある時には不足分をどこから用立てるか(または、書籍の購入を諦めるか)を検討して判断を行えば良いのです。
いかがでしたでしょうか?
なんだかリアルな例えになり恐縮ですが、プロジェクトのコストを確認するための2つの基本的な見方、ご理解いただけたのではないでしょうか。
次回もお楽しみに!