ゴールデンウイーク明けの5月9日の日経新聞で、目に留まる記事を見つけた。政策研究大学院大学教授の竹中氏のインタビュー記事である。いまこそ、クールジャパン美術館創設へというものだ。
日本文化の評価は、世界中どの国へ行っても一般の日本人が考えるよりも高い。また、世界には、日本文化に関心を示す人は数多くいる。ましてや、まともに日本文化の素晴らしさを伝えると仮定すれば潜在的なファンは計り知れない。しかし、外国人がいざ、日本を訪問して今流の言葉で言えば、クールジャパンの中身を見ようとした場合には、どうしたらよいか苦労するようだ。著名な画家の作品、日本の歴史的な文化財、近代現代のアートなどを一堂に展示している場所は無い。観光資源開発は、日本の自然と文化を見せたり、触れ合う機会をつくることが目的になる筈であるが中途半端なのが実情だろう。特に日本の伝統工芸品は、有名無名にかかわらず素晴らしいものが数多くある。匠の技は、何百年もかけて試行錯誤を繰り返さなければ到達できない水準のものが数多くある。これこそ日本文化の価値であり原点だと思う。そのような日本文化の上に、今日の世界で 通用する製造業があるとみなすことができる。
また、ものづくりに限らず、伝統芸能や茶の湯、祭り、料理、着物など数えだしたらきりが無い。私たち 日本人にとって当たり前に存在する家庭で使われているような道具なども私が言っている日本文化に含まれる。一方、文化に対する政策は、個別ばらばらに実施されているのが現状だと私は、考えている。パリへ行けばルーブルがあるし、ロンドンには、大英博物館がある。アジアでも故宮 博物院がある。しかし、日本には、代表となるような世界的な美術館・博物館は、存在しない。私は、どうせつくるのであれば、クールジャパン文化館が良いと思う。日本文化の歴史、発展が一度に見ることができる場の創設である。流れからすれば東北に創るのがよいだろう。巨大な文化テーマパークとして一大文化拠点を創設し、海外の主要都市にある著名な美術館・博物館にもクールジャパンコーナーを設けてネッ トワークで最初から繋ぐ。
私が、ここで、言いたいことは、文化力・経済力の拡充は、根っこから深く考え作り直す必要があるということだ。総花的な やり方や表面的なやり方では、文化の発信はできないと思う。日本の強さの”根っこ”は、何かということをよく考え、思い切って資源をつぎ込むのがよい。このようなことを実現するのであれば消費税などの税率見直しもやむをえないだろう。他に類を見ない巨大なクールジャパン文化館が、数年かけて 東北に完成したあかつきには、日本の多くの子供たちが、修学旅行で訪れるだろうし、海外からもひっきりなしに訪問者があるだろう。
これこそが、政治決断であり、リーダーシップを発揮すべきことだと私は、信じている。
【読者への追伸】
ビジョン作り、次世代のくるまとは、など、新しい話題でいっぱいな「ITIフォーラム2011 in Nagoya」が、5月25日開催されます。チャリティーも兼ねた企画になっておりますので何卒ご参加いただければと存じます。