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IT組織イノベーションの4つの視点


 イノベーションを行うためには、常識を打破しなければならない。しかし、目の前の取り組むべき問題を無視できないことも事実だ。現状に満足せず、到達が困難であっても達成すれば次の時代を築ける高いビジョンを創造する。常に広い視野を持ち、現実にとらわれず高みを目指すことが、重要である。

 まず大事なのが、実行する人であり、大志を抱く人を創る。大志を抱き、広い視野で課題を見出す。坂本龍馬のようにとんでもない理想を持っているからこそ命がけで取り組むべき課題がはっきりと見えてくる。現実を肯定する人はせいぜい頑張っても現状のわずかな改善に終わる。改善は、悪いわけではない。足元のプロセスや手法を少しずつ変化させて行くことも大切である。しかし、過去の賢人で偉業を成し遂げた人は、間違いなく、現状を打破し、イノベーションを実現した人である。

 偉業は、一人では成し遂げられない。多くの人の巻き込みをしなければならない。人を巻き込むためには、イノベーションの意義と実現したときの姿を描き説明できなければならない。できてもいないことに確信を持ち、人を納得させる力が必要である。雄弁で綺麗な説明ができることが成果に繋がるだろうか?むしろ、正直で真摯さが、物を言うと私は考える。雄弁さよりも真摯さが、最終的に目標に向けて人を動かす。つまり、様々な価値観を受け入れられる心を持つことである。

 自分の考えとは違う価値を受容できる”こころ”を持つこととは、どのような意味か?言い換えれば、異論を受け入れ纏め上げる強さといえる。何事も受け入れられる人とは、かなり強句、勇気がある人間である。戦略の実行は、シンプルで分かりやすく国際的に通用する考え方、方法で進めるのだ。ビジョン実現に向けてしつこく、しぶとく、諦めずに実行する。しばらくすると手ごたえを感じるようになる。しめたものだ。成功するまで続けるので、必ず成功することになる。

 私は、様々な経験から、IT組織のイノベーションのための4つの視点を見出した。

 - 着眼大局(本質を見極め、広く見据え物事を判断する)
 - 和魂洋才(異文化に学び、様々な価値観を受容できる人を創る)
 - 単純明快(わかりやすいビジョン、戦略を示し実行する)
 - 不易流行(世界に通用する思考、方法論を備える)

 やはり、最も大切なことは、人であり、大志である。大志が無ければ何も起こらないのである。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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