キックオフが無事終わった後、プロジェクトマネジャーは各メンバーに指示を出して作業を推進すると共に、その状況を様々な視点から把握・コントロールしていかねばなりません。
そのための“確認”の方法をこれから具体的にみていく訳ですが、今回は確認の中で最も基本的な視点である「作業の進み具合」について考えてみましょう。
作業の進み具合とは
作業の進み具合とは、プロジェクト計画の際に作成したスケジュールの各作業が、現時点でどれだけ完了しているか?ということを意味しています。
プロジェクトマネジメントの世界では“進捗(しんちょく)“と呼ばれ、作業がスケジュールよりも遅れている場合には「進捗が遅れている」、逆に早く完了している場合は「計画よりも進捗が進んでいる」などと表現されます。
例えば図1のようなスケジュールに従って作業を進めており、1-1の「屋台の設計」はすでに完了しているものの、1-2の「作業場所の確保」が9月17日終了時点でまだ完了していなかったとします。このような場合は「進捗が遅れている」ということになります。
進捗は定期的に確認し、可視化する
プロジェクトマネジャーは、各作業を担当しているメンバーから作業の完了状況を定期的に確認して進捗を把握します。
その頻度はプロジェクトの性質によって異なりますが、ゆったりとした気長なプロジェクトでなければ最低1週間毎には確認を行うようにしましょう。それよりも頻度が下がると、「進捗遅れが分かった時には、もう手遅れでした・・・」ということになりかねません。
そして、確認した作業の完了状況はスケジュール上に表現してあげることにしましょう。
例えばこんな感じの報告が行われたとします。
<9月17日:山田さんからの報告>
「1-1の屋台の設計が終わったので、すでに1-3の材料の購入も終わらせました。今は作業場所と工具が準備できるのを待っているところです。」
<9月17日:鈴木さんからの報告>
「1-2の作業場所の確保についてはまだ実施していません。しかし、1-4の工具の準備には着手しており、作業の半分程度が終わっています。」
これらの報告をもとにスケジュール上に実績を書き加えることにします。いくつか方法はありますが、オーソドックスな実績の表現方法に“イナズマ線”という書き方があります。早速図2で見てみましょう。
イナズマ線は、まず確認を行った日にまっすぐ縦の線を描き、各作業の完了の度合いに応じて左右に線を引き伸ばしていきます。1-2の作業は0%完了なので黒棒の左端に、1-3は100%完了なので黒棒の右端に、1-4は50%完了として黒棒の真ん中に線を伸ばします。
いかがでしょうか。このようにイナズマ線でプロジェクトの進捗は一目瞭然、一部遅れはあるものの先に進んでいる作業もあり、その貯金を使って対策を講じれば遅れている作業をキャッチアップできそうな雰囲気が掴めますね。
進捗の遅れに対処する
進捗の遅れが分かった場合、なぜ進まないのか作業を担当するメンバーに確認するなどして原因を突き止め、対策を指示することになります。
原因と対策は様々ですが、時間や人をやりくりしてすぐに対応できるようなケースはシンプルです。
図2の例で、作業場所の確保が誰でも2日で終わらせられるようなものであれば、作業が先行している山田さんが鈴木さんに代わって実施すれば、すぐに遅れを取り戻せることでしょう。
しかし、もし遅れの原因が「なかなか条件に合う所がなく、場所の確保がかなり困難であることが分かった。」といったケースではどうでしょうか。
このような場合は、「仮の作業場所を用意する」とか、「スポンサーに泣きついて作業場所の提供を掛けあってみる」とか、別に策を検討して手を打つ必要が出てきます。場合によっては、スケジュールなどの計画の見直しが必要になるかも知れません。
プロジェクト推進中にはこのような問題が数多く発生するものであり、進捗と併せてこのような問題と対策状況を管理していくことになります。
次回、その管理方法について詳しくご紹介することにしましょう。
それではお楽しみに!