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【第16回】情報システム部門が抱える“PM+BA”に関する悩み、2010年を振り返って


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早いもので今年もあと数日で終わります。今年5月より始めた本メルマガも今回で16回目の配信。1年間お付き合いいただき、本当にありがとうございました。また来年もよろしくお願い致します。

 さて今年1年、ITに携わる様々な方々と、“PM+BA”に関連するお話しをさせていただきました。その1年を振り返り、印象的ないくつかの話題をご紹介させていただきます。

 <私自身が感じた、情報システム部門が抱える悩みベスト3>
1位  システム再構築などの大規模プロジェクトを推進できる人材の不足
2位  大小に関係なく、ITのプロジェクトにおいて、システム子会社やベンダーをリードできる人材の不足
3位  要員の高齢化、次世代を担う人材の不足

 1位に挙げた「システム再構築などの大規模プロジェクトを推進できる人材の不足」は、更改時期を引き延ばし続けてきたシステムがいよいよ老朽化し、システムの再構築が避けられない状況になってきました。そのため情報システム部員が主導して、大規模プロジェクトを推進するべく、取り組もうとしています。しかしそのような人材がほとんどいないという状態が、情報システム部門というお悩みがこれです。
そのような状態に至った主な要因としては、次のようなものがあります。
・  近年は中小規模のプロジェクトが多く、そもそも大規模プロジェクトを経験した人が少ない。
・  開発・保守業務を長らく(実質的に)アウトソーシングしていたため、社内の情報システム部員は、契約管理を中心とした管理・監査業務ばかりしていた。よって多くの要員は実務経験に乏しい、もしくは無い。
 特にこのような状況にあるのは、情報システム部門の部員数が10名程度以下(年商だと5千億位?)の企業において、特に深刻なお悩みを持たれているように感じました。部員数が少ないため、人事のローテーションもほとんど行なわれず。一方でプロジェクトに取り組みたいと思っても、定常業務に追われ、プロジェクトへの取り組みも疎かに・・・ 悪循環に陥っているケースを目にします。

 次に2位に挙げたのは「大小に関係なくITプロジェクトにおいて、システム子会社やベンダーをリードできる人材の不足」です。これは多くの情報システム部門は、ITプロジェクトにおける責任者(PM)として、システム子会社やベンダーに対しリーダーシップを発揮して、牽引してゆくことが求められるケースが多いです。しかし現実的には、情報システム部員のスキル不足等により、求められるミッションを果たせていない、ということを指しています。
このような状態に至った主な要因は、1位のところで記載した主な要因と同じです。

 3位に挙げた「要員の高齢化、次世代を担う人材の不足」は、記載のとおりです。情報システム部員が高齢化している、つまり次世代を担う人材が不足しているという状態です。
このような状態に至った主な要因は、次のとおりです。
・  IT業務の大部分を(実質的に)アウトソーシングした。そのため若手を配置し、かつITの基礎から育てるようなコストを掛けることはせず、アウトソーシング前にITを担当していた人がそのまま有識者として残った状態が続いた。
・  経営者が、価値ある情報システム部門となるべく、組織のあり方や、組織を担う人材の育成をしてこなかったため。

 お悩みの事象は様々ながら、抱える根本課題としては、
『情報システム部門の存在意義・価値が不明確である』
ということに尽きるのではないかと思っています。

 ただ情報システム部門の存在意義・価値は、それぞれの企業によって異なります。一般論を持ち出したとしても、また他社のやり方を単に真似たとしても、そこにその企業としての「情報システム部門をこうしたい!」という魂が無ければ、存在目的を見失った、形だけの組織になってしまいます。

 “PM”や“BA”という活動も、情報システム部門の方々に伺うと、皆さま「必要だ!」、「重要だ!」とおっしゃいます。しかしその活動がなぜ、その情報システム部門に必要なのかを明確に出来ないのであれば、その活動に取り組んでいる人も、その活動により影響を受けている人も、真の価値を享受出来ないことになります。

 人も組織も生き物だと思っています。生き物なので、組織のあり方をある時に定義しても、時が立つにつれて変化する可能性はあります。だからといって定義することを放置していると、どのような価値を提供し、かつ責任を負っている部署なのか、社内の他部署から見た場合に、その存在理由は不明確になります。

永遠のテーマだとは思いますが、明日の情報システム部門はどのような価値を企業活動に対し発揮してゆくのか?そのようなことを来年からはより深く意識しながら、本メルマガでお伝えできればと考えています。

では、良いお年をお過ごしください。

(追伸)
ニ神軍平(著)「ユニ・チャームSAPS経営の原点」ダイヤモンド社(2009)という本の中に、「言われてみればなるほど」という記載がありましたので、ご紹介いたします。

「守・破・離」でもっとも重要なのは「守」。
この教えは、道を極めるときの成長過程を示した原理原則で、基は、能の世界を確立した世阿弥の教えだそうです。
「守」は、指導者の教えに従って、1~10まで型通りに行なうこと。「破」は、型を完全に見につけた上で、教えを守るだけでなく自分なりの創意工夫をもって型を破ること。「離」は、すべての教えや型から離れて、独自の境地を切り開き、飛躍することだそうです。

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竹内博樹
1991年 筑波大学卒業後、三和銀行のシステム子会社である三和システム開発株式会社(現、三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社)入社。同社にて銀行業務のリテール、法人、国際の各分野において、大規模プロジェクトにおける企画・設計・開発に、主にプロジェクトマネジメントを実行するマネージャとして携わる。また開発後の保守にも従事するなど、幅広い業務でマネージャとして活躍。2004年より当社にて、大規模プロジェクトにおけるPMOの運営およびプロジェクトマネジメント支援や、IT部門の組織改革等、幅広くコンサルティングを手がける。 保有資格:情報処理 プロジェクトマネージャ、PMPほか。PMI会員、PM学会会員。

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