数年前にもその傾向がありましたが、最近も、次のような理由からシステム再構築の話しを良く伺うようになりました。
システム再構築をしなければならない事情は様々ありますが、ビジネス変化が早い企業にとって、どのようにシステムを再構築したら良いのかを悩まれているケースを多く目にします。つまり、全社統一的なシステムを再構築しようとすると、プロジェクトの期間が長くなり、プロジェクトが終わる頃にはビジネスが変化しているかもしれない。そもそも構築したシステム機能自体、別会社になっているかもしれないという不安をお持ちのようです。一方でシステムを分散化し過ぎると、維持運用コストが増大するという悩みをお持ちのようです。
企業が置かれている状況、またその企業の経営戦略に基づき再構築するシステムの企画を立案するため、世の中に「これしかない」という正解はございません。だからこそBAが中心となり、その方向性を固めてゆくことが重要となります。またシステム再構築となると、ITの構想・企画段階から相当数のメンバーが、その仕事に従事することになります。つまりプロジェクトのマネジメントを構想・企画段階からしっかりと行なう重要性があると考えております。
このような取り組みを行なう場合に、とかく「他社事例」を求められる方を多く見受けます。確かに他社事例から学ぶことは多いかとは思います。ただ「自分たちがこうしたい」という思いを持ち、そのベンチマークとして他社事例を使わないと、三者三様の他社事例に翻弄されてしまいます。
そのような活動を推進する際にも、BAが重要な役割を担います。
ではBAはどのようなスタンスで取り組んで行ったら良いのでしょうか?
教科書的なことは、世の中に出回っている書物に委ねるとして、ここでは心構えをお伝えしたいと思います。
(追伸)
先日、東証一部上場の某素材メーカーの情報システム部長とお話しをする機会がございました。その会社では、ビジネス変化にシステムが迅速に対応し切れないことから、システムの再構築を検討されているとのことでした。しかし同部でシステムの企画をしなければならないものの、システムの設計・開発経験のある人材は、システム子会社に転籍。企画とプロジェクトマネジメント機能のみ情報システム部門に残しているものの、大規模プロジェクトを遂行できるほどの要員数は居ない。また長年新たな要員を受け入れてこなかったため、平均年齢も高い。今回のシステム再構築は何とか乗り切れたとしても、その後の維持運用、そして将来のシステム再構築を担うべき情報システム部員が居ないというお悩みでした。このようなケースは良く伺います。組織に根付いた文化や人間関係が弊害となり、「情報システムはこうあるべき」とべき論を軽々に口にしても、組織内で一蹴されるだけです。即時解決策はありません。しかし企業における情報システム部門の位置づけを経営陣が財務部門と同じくらいに重要視し、そのための人材確保・育成を怠らない状況にならなければ、改善してゆくのだろうと感じました。