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【第11回】目的を成し遂げたいと思ったときに、真に行動できる!


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 私は延べで30年近く、登山をやっています。登山は「あの山に登りたい、制覇したい」といった明確な目的があります。そしてそれを実現したいがために、登山計画を立案し、様々な準備を行ないます。
 登山に馴染みの無い方もいらっしゃるかもしれませんが、今回のメルマガは「登山」をテーマに、プロジェクトマネジメントの意義についてお伝えします。

 最近の登山ブームで、十分な準備をせずに山を登り、遭難するニュースを良く見かけます。遭難すると、周りの人に心理的、金銭的な迷惑をかけるだけでなく、登山者自身が死亡する最悪の事態に陥ることもあります。そう、最大のリスクは「死亡」です。

 ヒマラヤ登山は別格として、日本国内の3000m級の山に長期で滞在する場合、「遭難」しないよう、通常次のような段取りで登山は行なわれます。

  1. 目標の設定
    登るべき山を決める。
  2. 目的の設定
    目標を達成した結果、何が得られるのか、何を得たいのかを決める。
  3. リーダーの選定
    1,2の準備・実行するためのリーダーを決める。
  4. 登山ルートの決定
    ・どのようなルート(登山道、沢、岩壁)で登り、下山するのかを決める。
    ・悪天時、メンバーが傷病になった場合のエスケープルートを決める。
  5. 登山計画書の作成
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  6. メンバーの選定
    1,2に賛同するメンバーを募る。
  7. 登山前の準備
    <メンバーに関すること>
    ・参加メンバーの登山経験・スキルが足りない場合は、充足させるためのトレーニング計画を立案し、実施状況を監視する。
    ・登山中にメンバがばてないよう、十分な体力を持ちえるよう、トレーニング計画を立案し、確実に実施する。
    ・遭難した場合に備え、山岳保険に加入する。
    <登山コースに関すること>
    ・現地の山小屋、警察署などに連絡し、状況を確認する。
    ・冬山登山を行なう場合は、無雪期に下見に出かけ、登山ルートの確認、雪が積もった場合にコースを外れないよう、木にマーキング(赤いリボンを括り付ける)する。
    <装備に関すること>
    ・不慣れ、もしくは新しい装備を使う場合は、事前に使い捜査方法を習得しておく。
    ・既存の装備も不具合の有無を確認するため、やはり事前に使ってみる。
    <食料に関すること>
    ・軽い、腐らない、マンネリ化しない、多くの水を使わないなど、実施する登山コースの状況を鑑みた献立作りをする。
  8. 登山実施中
    ・登山中にメンバーの意見が割れることは遭難につながる可能性が高まる。よってリーダーは軍隊式にリーダーシップを発揮し、メンバーの体調、天候、登山ルートの状況、装備の状況などを総合的に判断しながら、登山を実施する。
  9. 登山実施後
    ・安全な登山を継続的に続けるために反省会を実施し、その内容を反映した登山報告書を作成する。

リスクは「遭難」でしたので、計画・準備、登山実施中も、リーダーは常に「遭難」を意識しながら行動します。もしリーダーがリスクを意識せず、無謀な計画、無謀な登山を強行すれば、「遭難」しないのは、さまざまなラッキーが重なった結果に過ぎません。

現実のITプロジェクトでは、プロジェクトマネジメントが失敗したからといって、メンバーが死亡することはありません。単純に当てはめることは出来ませんが、
「もしリスクマネジメントを怠ったら、自分自身、もしくはプロジェクトメンバーが死亡する」
「しかしプロジェクトの目的は、リスクが発生しないよう最善をつくさなければならない」
としたら、プロジェクトリーダーの意気込みは、常に「真摯」、「真剣」であり続けるであろうと思います。

(追伸)
商売心得帖として、PHPより出版されている松下幸之助氏の言葉をまとめた本があります。その中の「名君と忠臣」に感銘しました。
“消費者は王様”という考え方について、幸之助氏は「非常に徹した考え方だと感心されたとのことです。しかし王様(=消費者)の言われたとおりのことをすると、結果王様が困るようなことになる。よって真の家臣(=サービス提供者)であれば、王様が間違ったことをしないよう、時に忠言を呈しつつ忠勤を励まなければならない」と。またこのような忠臣を呈することは、国家の繁栄をもたらすと。
ビジネスを行なう際、その拡大を図るためにお客様の満足度を高めることだけに目を奪われると、何のために活動をしているのかを見失いがちです。しかしその成果として、国家の繁栄、人類の永続的な繁栄といった、社会の一員としての勤めを自覚できた時、真に企業の価値、個人の価値が極大化するのではないか、そのような思いを新たにすることができた、幸之助氏のお言葉でした。

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竹内博樹
1991年 筑波大学卒業後、三和銀行のシステム子会社である三和システム開発株式会社(現、三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社)入社。同社にて銀行業務のリテール、法人、国際の各分野において、大規模プロジェクトにおける企画・設計・開発に、主にプロジェクトマネジメントを実行するマネージャとして携わる。また開発後の保守にも従事するなど、幅広い業務でマネージャとして活躍。2004年より当社にて、大規模プロジェクトにおけるPMOの運営およびプロジェクトマネジメント支援や、IT部門の組織改革等、幅広くコンサルティングを手がける。 保有資格:情報処理 プロジェクトマネージャ、PMPほか。PMI会員、PM学会会員。

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