DX(デジタルトランスフォーメーション)推進コンサルティング 株式会社アイ・ティ・イノベーション

menuclear
ホーム > ブログ > 弘中 伸典の記事一覧 > 【第19回】段取りの八:予算を確保する


【第19回】段取りの八:予算を確保する


< 前回 | 目次 | 次回 >

プロジェクト計画書の作成もいよいよ終盤に差しかかってきました。今回のテーマはプロジェクト予算の設定です。

といっても、特に難しいことは何もありません。
皆さんは家族で旅行される際、前もって予算を決めますよね?「楽しければ幾らかかっても構わない」というリッチな方は別として、多くの場合はあらかじめ予算を設定しておき、なるべくその中に実際のコストがおさまるよう意識して行動されていると思います。
プロジェクトの予算も基本的には家族旅行の予算と同じ考え方です。

今回は気楽に行きましょう!

予算の上限を確認する

では、皆さんが旅行に出かける時にどのように予算を決めているのか、簡単に振り返ってみましょう。

子:「パパ、今年のお正月はどこか旅行に行こうよ」
父:「う~ん、そうだなぁ・・・たまには家族で出かけるか!」
子:「やったー、だったら海外がいいな。ハワイとか!」
父:「おぉ~、ハワイいいねぇ!ビーチでゆったり過ごしたいな。」
母:「あら、あなた。車のローンもあるんだから国内しか無理よ。○○万円以内ね!」
父:「たまには奮発してもいいじゃないか。のんびりリフレッシュできるんだったら○○万円くらいでも。」

最初はこんな感じで予算の上限(大枠)を確認することになるでしょう。
プロジェクトにおいても、プロジェクトに出資している組織の資金力や、プロジェクトによって得ようとしている利益を考慮した場合に幾らまでしか出せない(投資対効果)といった制約によって予算の上限が決まってきます。

コストを見積もる

次は、実際幾ら必要になるのか具体的に見積もり、予算の上限値と比較しながら調整を行うことになります。
見積もりには、いくつかの方法があります。

まず、手っ取り早いのは過去の実例からコストを推測する方法です。自分が以前ハワイに行ったことがあれば大体幾らぐらい必要か相場が分かりますし、親類のハワイ旅行経験者にどれくらいコストがかかったか聞いてみるという手もあります。
プロジェクトであれば、過去の類似プロジェクトのコスト実績を参考にしたり、有識者・経験者に聞いてみる、ということになります(専門用語では、「類推見積もり」と呼びます)。

また、他にボトムアップ見積もりという手法があり、これは詳細化された活動毎に必要となるコストを積み上げて合算するやり方です。旅行であれば、まず空港に移動する→ハワイに行く→空港からホテルまでタクシーで移動する→レストランで食事する・・・という行程に沿って必要なコストを見積もって合計するという方法です。

この方法は見積もりの精度は高いのですが、具体的な行動が前もって細かく計画できていなければ使えません。
そのような場合は、旅行会社に相談しますよね。旅行会社のツアーであれば、それらの行動があらかじめパッケージ化されて決まったコストで提供されていますので、そこから提示された見積もりにパッケージされていない部分(おみやげ代など)を加えることで容易にコストを見積もることができます。

プロジェクトの場合も、外部の業者に委託する場合には見積もりを提示してもらい、自分たちで実施する部分のコストを合計することで見積もることになります。必要であれば、旅行と同じように複数の業者から見積もりをもらい、業者のサービスとコストを比較・検討することもできます。

主な見積もりの方法として、他に係数モデル見積もりという方法もあります。これは、過去の実績データを使って構築されたモデルにパラメータを入力してコストを見積もる、という方法です。こちらは少し専門的になってしまいますので、興味のある方は見積もりの専門書籍をあたってみてください。

予備費用の確保

プロジェクトは新たなチャレンジですから、なかなか見積もり通りにコストがおさまるケースはありません。
もしかしたらレストランの食事代が想定よりも高く付く場合もありますし、急にオプションツアーを追加したくなるかもしれません。コストの見積もりを行った後、このような場合に備えて予備的に使える費用をある程度上乗せし、最終的な予算を設定することとなります。

最後に、設定した予算額に対する承認を得て予算を確保します。

父:「よし、じゃぁ今回の家族旅行の予算はトータル〇〇万円だね。」
母:「OK、承認しましょう。」
母:「じゃぁ、早速旅行用にワンピースを買いに行かなきゃ。あとは今年流行の水着に、スーツケースも新調しようかな・・・。」
父&子:「あの・・・早速想定外の予備費が使われていますけど・・・」

いかがでしたでしょうか?プロジェクトマネジメントと言っても難しく考える必要はありません。このように旅行など身近な例に置き換えて見ると考えやすいのではないでしょうか。
それでは、次回もお楽しみに!

< 前回 | 目次 | 次回 >

| 目次

採用情報
PM-waigaya
PM-WaiGaya
コンサルタントのトーク動画
PM Weekly Talk
PM Weekly Talk
コンサルタントが語る「PMBOK®12 の原理・原則」

Profileプロフィール

Avatar photo
弘中 伸典
1994年、徳山工業高等専門学校情報電子工学科を卒業。 SIベンダーに入社後、数々のシステム開発の現場で活躍。そこで得た多くの経験に感謝しつつも、IT業界における構造的問題に一石を投じるべく株式会社アイ・ティ・イノベーションに参画。問題の原因は、プロジェクトマネジメントの欠如にあると考え、日々のコンサルティング業務を通じてその必要性を訴え続ける。 専門領域は、プロジェクトマネジメントおよびシステム開発プロセスの標準化、PMOの設置と運営、IT投資マネジメントなど。 責任と誠意を持って問題解決に取り組む姿勢を大切にしている。 PMP(Project Management Professional)資格 保有

Recent Entries最近の記事