ドラッカーによるイノベーションの原理原則は、次のようなものである。
(イノベーションと企業家精神・ダイヤモンド社より抜粋)
- イノベーションを行うには、機会を体系的に分析することから始める。
イノベーションの7つの機会を定義している。
- 予期せぬ出来事
- ギャップの存在(現実とあるべき姿のギャップ)
- ニーズの存在
- 産業構造の変化
- 人口構造の変化
- 認識の変化
- 新しい知識の出現
- イノベーションとは、理論的な分析であるとともに、知覚的な認識でもあるので、外に出て、顧客や利用者を見て、彼らの期待、価値、ニーズを知覚を持って知る。
- イノベーションに成功するには、焦点を絞り単純なものにする。(ニーズを絞る)
- イノベーションに成功するには、小さく、具体的なものに絞り、始める。
- 最初からトップの座を目指す。
- イノベーションは、集中でなければならない。(懲りすぎてはならない)
- イノベーションは、強みを基盤としなければならない。(簡単には、多角化はできない)
- イノベーションは、社会や経済を変えなければならない。未来のために行わず、今のために実行する。
私たちが、イメージしているイノベーションは、ひらめきやアイデアが、特別な人に限り浮かんで、すごいものが突然、実現することだ。電球の発明や蒸気機関や飛行機の発明などを例に取ると突然のアイデアよりも弛まない努力や夢を持ち続けた結果実現したものであることが分かる。ドラッカーは、イノベーションについて、イノベーションの機会は、過去の実績から体系的に整理できるし、いくつかの観点から導出できるものであり、顧客に出向き期待、価値、ニーズを目の当たりで知覚した結果、イノベーションの入り口へ到達できると考えている。さらには、単純で具体的で社会を変える力を持つものであるとしている。また、一番でなければならないとも言っている。イノベーションとは、未来のものであるような感覚を我々は持っているが、今現在の何かを変えるものである。考えてみると今のニーズに応えるために実行するものである。
現実を様々な視点で直視し、予期せぬ出来事や理想とのギャップなどから着想し、単純化、具体化したものから生み出せると言っている。人口構造、産業構造の変化、人の認識の変化により、イノベーションの機会が現われる。我々は、変化の流れの中に居ると変化に気付かないことも多い。自分の居場所を外から冷静に眺めることができれば、置かれている状況と変化が見えるだろう。
私は、IT業界の人と話をする機会が多いのであるが、箱庭の中での会話が多く、愚痴や他への問題の押し付けの会話の比率が高い。本来であれば、グローバルな視野で、様々な死に筋の事業、将来の事業について、攻めのストーリーを議論したいところであるが、そうは行かない。業界の中に成長と変革能力を如何に内部に持つかが課題である。
そんな時、私は、ドラッカーの本を開いてみるのだ。
私は、「変革の勇気と原理原則に従う」ことが、本当に必要だと感じる。