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【第4回】将来像(To Be)を描くことの意味(2)


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6月は株主総会のラッシュでした。株主総会といえば皆さま、有価証券報告書をご覧になっているでしょうか?

多くの方はご存知かとは思いますが、有価証券報告書には、企業の概況や事業の状況など、決算年度期間中における事業結果の総括や将来の見通しが書かれています。また一番重要である経理の状況として財務諸表はもちろんのこと、セグメント別に売上や営業利益なども書かれており、その企業の実態を見るために有効な資料の1つです。その他企業のホームページに掲載されている経営計画やアニュアルレポートなどを読むことで、企業が何を目指しているのか、また目指している事業は順調なのか否かをより詳しく知ることが出来ます。加えて同業他社(国内外)のうち、国内・国外それぞれのトップ企業の同様の情報を比較することで、その企業が属する業界のある一面を鳥瞰することができます。

BAとして仕事に取り組む前の準備としては、上記情報に加え、最低限、その業界に関連する本や雑誌・新聞は読んでおきたいものです。

さて前回のメルマガでは、システム基盤の老朽化に伴う基盤刷新のためのプロジェクトを実施するにあたり、「システム基盤の刷新」をあたかも「ビジネス要求」/「ステークホルダー要求」であるかのごとくプロジェクトの目的を定め進めようとしたために、ユーザ部門の反発を食らったというところで終わりました。

今回のメルマガでは、どのように進めれば良かったのかについて解説いたします。

「システム基盤」はそもそも何のために存在するのか? またそれが存在しなかったとしたら、何に影響するのか? この視点でまず整理してみると、システム視点ではなく企業視点でものが見えてきます。簡単に書くと次のような感じになります。

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 そして「将来(To Be)」と「現状(As Is)」とのギャップの中に、BAとして整理しておきたい要求が存在します。なぜかというと、現状と将来のギャップを埋めようとすると、何らかの要求を実現しなければならないからです。今回ケースであれば、例えば次のような要求が存在します。

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 要求をご覧いただくと、「システム基盤の刷新」というキーワードは出てきていません。つまりシステム部門として、結果的にはシステム基盤の刷新に取り組むことになるかもしれません。しかしシステムは、何らかの目的を達成するための手段に過ぎません。よってあくまでもシステム基盤を刷新することの目的は、「ビジネス要求」/「ステークホルダー要求」を満たすことであり、システム部門はそのことを明確に意識し、かつプロジェクトにおける目的として明記し、かつその目的に従順でなければ、経営や業務部門から信頼されるシステム部門とはなりません。

 なおBABOKⓇでは、要求は次のとおり分類できると定義しています。

  • ビジネス要求
  • ステークホルダー要求
  • ソリューション要求
  • 移行要求

ここの要求の定義は、2010年5月25日に配信した本メルマガに記載しておりますので、詳しくは下記をご覧ください。

https://www.it-innovation.co.jp/2010/05/25-131635/

ただ「ビジネス要求」や「ステークホルダー要求だけでは、「将来(To Be)」に到達しません。次回は、1~4の要求をどのように分類してゆけば良いのかについてお伝えいたします。

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竹内博樹
1991年 筑波大学卒業後、三和銀行のシステム子会社である三和システム開発株式会社(現、三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社)入社。同社にて銀行業務のリテール、法人、国際の各分野において、大規模プロジェクトにおける企画・設計・開発に、主にプロジェクトマネジメントを実行するマネージャとして携わる。また開発後の保守にも従事するなど、幅広い業務でマネージャとして活躍。2004年より当社にて、大規模プロジェクトにおけるPMOの運営およびプロジェクトマネジメント支援や、IT部門の組織改革等、幅広くコンサルティングを手がける。 保有資格:情報処理 プロジェクトマネージャ、PMPほか。PMI会員、PM学会会員。

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