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中国企業のこころ


4月14日から18日までの5日間であったが、あるお客様の要望もあり、南京にある中国IT企業を訪問した。訪問初日、南京の空港まで休日の日曜日にも関わらず出迎えに来てくれたのは、責任者のTさん、女性である。日本企業に比べて中国企業では、女性管理職が多く活躍している。今回の訪問は、ある企画を実現できるかどうかの判断するための調査であるが、私の会社の状況や実力も分かっていない段階から、気持ちの良い対応をしてくれたのは、ありがたかった。流暢な日本語で、挨拶後、事前に私の会社をホームページなどで、よく調べていることが分かってきた。私の顔を見分けるために、ネット上で確認の上で迎えてくれたのだ。

10年程前には、上海や大連などの数ヶ所の都市に何回も訪問していたのであるが、南京は、初めてである。南京は、私の出身地である名古屋の友好都市になっていて、明時代の古都であり歴史もある。中国の人、誰にでも愛されている孫文の墓があることでも有名である。初めて行った場所で不安無く仕事を開始できたのは、助かった。また、訪問中に、仕事の点だけではなく滞在中の生活のいろいろな点でお会いした人すべてが、気遣ってくれたことには、本当に感心した。

20年ほど前から中国では、多くのIT企業の日本向けビジネスとしての起業があり、10年前に訪中したときには、多くの企業の技術レベルや企業の雰囲気は似通ったものであったが、ここ10年の間に、企業の実力格差がかなり付いてきたと考えられる。また、企業カルチャ、戦略、売り上げ構成も企業の特徴を反映したものになりつつある。海外向け取引の増加だけではなく、国内需要も急速に増加しつつあり、一昔前に比べれば、各IT企業が目指す目標に対して、技術力を高めるポイントや上流やマネジメントにも取り組まなければならなくなってきている。今後の10年間で、国内の需要に応える実力をつけなければならない。また、物価上昇の影響や低価格戦略から付加価値戦略に移行しなければならない。日本で起こったビジネス環境の変化よりかなり早いペースでの対応を中国企業は迫られているのだ。中国にある本質的な文化性は、簡単には変化しないが、グローバルに活動する企業の文化は、かなり変化していると思われる。

さて、訪問初日から副社長のYさん、日本支社長のDさんとも会食できた。人柄も良く、教養も豊かで幹部の方々は、日本企業よりも10歳ぐらい若いが、明るいし、よく勉強している。どの企業もこんなふうには、行かないと思う。訪問し、会議を進めていくうちに創業者で社長のSさん、副社長のYさん、日本企業で修行を積んだD支社長を中心に推進している企業理念と方針が優良な欧米や日本企業並みにはっきりしているということが分かってきた。また、訪問の会食事には、仕事の話は、ほどほどにして、料理や旅行、中国文化、文学、芸術など様々な話をした。日本人以上に日本に対する関心もあり、よく物事を知っている。また、明や清の時代の話、蒋介石、孫文、宗三姉妹などの話しをしたり、宗教観や人生観、世界観についての会話を楽しんだ。また、カラオケやバーも訪問したのは言うまでも無い。

私は、企業の実力を測るひとつの方法として、幹部と文化、芸術の話をする場をつくることが、一番良い方法だと思っている。今回の訪問で、真剣に企業理念を確立し長期的な成長を目指す企業が、私の目の前に現われたということは、一方では、中国国内で、企業の差別化、淘汰も進んでいると予測できる。私は、世界どこにあっても明確な理念と目標を持ち、人間力のある企業と仕事がしたいと考えている。どんな国のどんな会社でもかまわない。問題は、すぐれた企業文化、明確な目的とよい心を持った人が、いるかどうかである。

このような企業と出会いたかった。
私は、真剣にこの企画を進めるつもりである。
5年後、どのような世界になっているかは、分からないが新たな事業展開の予感がする。
本当に楽しみだ。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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