本物の力を社員につけるためにどのようにしたら良いか悩んでいるトップは、多い。
私が顧客訪問をした際に、ある会社のCIOが、次のようなことを言っていた。
・ 今の社員は、教育システムや課題を与えられすぎている。
・ 何か新しいものに取り組む際にどのようにして良いか分からない人が多い。
・ 親切すぎては、力のある人は育たない。
・ 昔は、何も与えられず、自分で考え抜いて何とかしなければならない機会が多くあったが、今は、少ない。
どのようにしたら力のある人を育てられるか相談したい。
要は、考える力、何かを生み出す力は、与えられる環境では育たないと言うのだ。
私は、お客様の社員を育てることが、コンサルタントの使命のひとつだと考えている。私たちが、お客様のプロジェクトに参画する多くの場合は、プロジェクトの問題解決が、最優先で人材の育成は、重視されないケースが多いが、長期的なお客様のメリットから見ると社員で実行できる力を付けることこそが優先されて良いと思う。
私どもは、他のコンサル会社とは異なり、お客様と一緒に悩み、努力して、再現性のある解決策を顧客の組織の中に植えつけることを目指している。課題を通じて、お互いを耕しあうこと(cross fertilization)、言い換えれば、互いの土壌(文化)にまで食い込んで、悩み苦しむことで(なかなか解決できない問題に遭遇することには、私は、時々幸せを感じることもある)互いの中に新しい何かを生み出すことが出来るまで諦めずに仕事を行うことが、最も重要だと考えている。
30年近く前にある先輩が、私に言った言葉を思い出した。
「“不親切の親切”って言葉、聞いたことあるか? 林君。
俺が、お前に細かく指導しないのは、面倒くさがっているわけじゃなくて力をつけてほしいからなんだよ。」
不親切な課題、理不尽な課題、困難な課題を与えることが、社員力増強の元になるだろう。
形に拘らず本当の育成を追及してゆきたいと思う。