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おもてなしの心


日本人は、元来、おもてなしの文化を持っている。
しかし、ビジネスの世界では、大切な「おもてなしの心」が、なおざりにされているような気がする。私自身は、あまりおもてなし上手なほうではないが、それにしても、近頃は「おもてなし文化」が、崩壊しているような気がする。
企業間でのやり取りでは、損得、論理、割り切りが優先され、寂しい気がするのだ。

そもそも「おもてなし」とは、接待のことだ。

  • 客に対する扱い。待遇。
  • 客に出す御馳走。接待。
  • 人や物事に対する振る舞い方。態度。
  • 物事に対する扱い。とりはからい。処置。

[ 大辞林 提供:三省堂 ]

待遇、ご馳走、身のこなし、とりはからい、などのちょっとした相手に対する気遣いを行うことである。気遣いより表面的な損得やルールが優先しているとよく感じるし、接待という言葉の意味も誤解されているかもしれない。ニュースで報道される過度な接待に関わる次元の低く、品格の無い事件から言葉の印象が悪く考えられているかもしれない。

本当の意味はなんだろう。やはり、食事や待遇そのものよりも本物の「こころ」を相手に示すことと接待される側の態度の問題だと私は、考えている。言い換えれば、文化的な豊かさを表す心のコミュニケーションの方法である。相手に敬意を払い心をそのために動かし、相手のために時間を使うことにより、今まで以上に関係が密になり、絆が深まる。

接待する側の「こころ」「態度」「振舞い方」「扱い」が、適切かどうか接待される側の「こころ」や「態度」も重要な要素になる。

そのことに日本人である我々が気付かなくてはならない。

おもてなしの心は、企業にとっては、ますます重要になってきているし、企業を構成する従業員や製品そのものの付加価値の一部を形成するようになるだろう。おもてなしの心は、すでに、トヨタ、日産などの自動車の製品サービスにも組み込まれているし、イタリアなどのブランドメーカー、航空会社などでは、以前から重視されてきている。私の居るIT業界では、特に必要性を感じる。

日本には、千年以上前から「おもてなし文化」の歴史がある。
日本の素晴らしい文化を振り返り、真剣に考え「心」の部分から鍛えなおし現代に融合できるように取り組むのだ。洋物の受け売りをすべきではない。自分でどのようにおもてなしするかを考えるのだ。

そうすれば、どのような製品、サービスを行えばよいかは、おのずと見えるはずである。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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