4月16日から19日までホーチミンを訪問した。成田からベトナム航空で一路ホーチミンへ。到着して最初に驚いたことは、空港の清潔さ綺麗さである。
中部国際空港(セントレア)やクアラルンプール、シンガポールなど、日本の企業が設計と建設に参加している空港のデザインにどこか似ている。
訪問の目的は、
を、現地に行って自分の目で確かめることである。
ベトナムで起業したIT企業数社の経営者に会った。実際に会って感じたことは、ベトナムには夢があり、若き経営者には使命感と目標があるということだ。
ホーチミンはベトナム最大の都市であるが、インフラやITスキルは日本に比べれば後れている。
しかし、多くの若い人には目標があり、活気がある。これは日本の成熟した社会と違い、成長を確信させる。産業を伸ばすための熱意、活気、若さを感じさせる。
一方、日本は老齢化が急速に進んでおり、ベトナムやインドなどの国に比べると若者の就業人口数が違う。質×量でインドと同様に、日本のニーズを補完する重要なパートナーになるに違いない。日本の企業は、少なくとも近郊のアジアの国々の人的なリソースを頭に入れて行動しなければ、今後やっていけない。このような簡単なことに気がつかないでいる日本企業は、意外と多いのだ。金さえあれば必要なリソースが見つかると思っている日本企業の経営者は、愚かである。どのように必要な人を創っていくかが、企業の本来の仕事である。日本の将来必要な人材像とその構成比を明確にし、今すぐ検討しなければならない。
ベトナムの若いIT産業の経営者に共通することは、日本との取引に関心があり、日本に対する憧れの感情を持った人が多い。なにか努力しようとする決意を感じさせる。使命感の源泉には、理由がある。
経営者の経歴を尋ねると何人かの経営者は、国費で日本へ留学している。あるいは、日本で就業した経験を持っている。
留学を許される人はそもそもかなりのエリートであるが、それにも増して何かをチャレンジする意志がある。
国費で留学する人は留学終了後、何らかの形で国への貢献を期待されている。起業することでそれに応えようとしているのだ。国費で留学した人は、成功することに対する使命感がある。なぜなら成功しなければ留学制度自体も見直されるからだ。日本でもかつて、フルブライト留学生の制度があったが、その制度で留学した人に似ていると言える。
ベトナムは、国を挙げて本気でIT産業を支援している。
私は、そのような国の若者たちを何らかの形で助けられないかと考え始めている。
当然ベトナム企業は何とか日本に売り込み仕事を確保しようと躍起になっているが、これらの企業と、中国・インドを対象としたオフショア開発で失敗を重ね、苦労して今に至っている事実がある。これを糧に、私は新たな形でベトナムのIT産業を支援できないかと考えているのだ。
最初から戦略、方法論、カルチャの違いを共有して、小さい仕事から始めるのが良いだろう。また、産業を育成するための教育も同様に重要である。新興の産業を日本の若者と共に育成することが必要だ。人口減少が避けられない日本では、育成対象も当然減少する。人は誰かを育成することで、自分自身も育つのだ。これをチャンスとして、互いに人材を育成するモデルを確立することができると思う。
お互いを肥沃にするモデルを創造するチャンスであると考えたい。次のターゲットはカンボジア、インドネシア、ブラジルあたりかもしれない。人を作ってこそ、本当の先進国と言えるのではないだろうか。
私は、このアジアの国の発展に貢献することこそが、日本人の使命であり、その結果、日本に貢献することになると信じている。若者は、海外に出て行かなければならない。