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日本版村興し


12月初旬、週末をかけて種子島を訪問した。
一般の人には、種子島は、鉄砲伝来とH2ロケットの打ち上げ基地があることで知られている。私が、なぜ種子島を訪問することになったのかをお話しよう。

種子島出身で故郷にITの学校を創設する夢を持っている八板社長(バリューストリーム社)の存在である。八板さんと私は、10年来の付き合いがあり、私がジェームスマーチン社でコンサルタントをしていた時代(1994年から1998年)に、同氏が常務をされていたSI企業にITの方法論を導入していただいた。これが縁で付き合いがはじまり、私の大切なパートナーの一人である。八板氏は、以前からIT技術の改革、人材の改革に関心があり、新たなやり方の開発方法論や開発ツールに前向きな方である。八板氏は、そのSI企業退社後の数年前に東京で再び起業され、ビジネスを推進されている。さらには、有言実行で、IT学校の創設に努力されつい最近、開設準備室を種子島に設置された。このことを元八板氏の部下であったSI企業(アドソル日進社)の上田常務から聞いた。私は、学校の構想を一年ほど前から聞いていたので、いよいよかと思い、二つ返事で種子島訪問を決めたのである。実際に現地に赴きこの目で確かめるのが私の方針である。島での会議には八板氏、上田氏に加えて八板氏と同じ種子島出身の乗濱社長(ベストソリューション社)も会議に参加することになり、ユニークな討議メンバーが、決まった。地の利が分かる2人の社長が居ることは、種子島におけるITビジネスの成功の確率を高めると考える。

一日目は、八板氏の自宅で囲炉裏を囲み、奥様の手料理、島の焼酎を酌み交わしながら、車座会議が始まった。学校創設のいきさつや島の環境や文化、経済など様々な話題で盛り上がった。どうやれば島の未来図が描けるかである。成功する姿が、頭の中にDVD画像になって現れるまで検討すべきである。可能性のある実のある話ができたことは、事実である。

二日目は、乗濱氏の自宅にお邪魔して、島ならではの美味しい魚貝類、蟹などを乗濱氏の奥様、ご両親と一緒に、食事の作法(蟹の食べ方)など教わりながら種子島の人々の暖かさ、素晴らしさを肌身に感じ取ることができた。島の人たちは、都会とは違って素直でやさしい。

合計3日間の限られた旅程で、淡路島ほどの大きさのある島の隅々まで、公的な施設や観光施設などを案内いただけたのは、感謝感激である。温暖で豊かな農業と水産資源を持つ島でも、若者の流出が続いている。種子島の歴史は古く縄文時代、弥生時代の遺跡もかなりの数があるし、島の南の領域は稲作の発祥の地でもある。また、サトウキビなど南洋の作物も豊富に取れる。芋も多く作られていて地場の焼酎もうまいし、海もきれいだ。沖縄や奄美大島などの南洋の島との違いははっきりとしている。琉球ではなく、あくまでも日本という国の南の端で、はっきりとした日本文化を持つ島は、ポルトガルなどの外国からの航路にあたり、日本の入り口になっている。異文化が南から黒潮に乗ってこの島から入ってくるのだ。したがって、歴史的に島民は、異文化への抵抗感が無く、異文化を受け入れられる気質を持っているようだ。島では、鉄砲の日本での製造方法と引きかえに、ポルトガル人と結婚した若狭姫の話は、有名である。日本発の国際結婚だといわれている。

このような歴史があり、温暖な気候を持つ種子島の公共施設などを活用して、IT起業ができるよう何らかのお手伝いができないかと私は、考えている。

地方でのビジネスを成功させるには、
(1)やる気のあるリーダー
(2)住民の気質や文化
(3)環境と立地
が、重要だと思う。私の判断する限りでは、種子島はこの条件を満たしている。
この島でITビジネスを成功させることは、容易ではないが、知恵を絞れば必ずできると信じている。

来年は、もう少し別のIT企業の経営者にも声をかけて、二回目のIT車座会議を種子島で実施しようと考えている。
訪問して本当に良かった。感謝しています!!!

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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