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インドでのオフショア教育(短期集中で異文化とソフトウェアエンジニアリングを学ぶ)


4月4日から8日の5日間、数社のお客様のトップマネジメントの方とインドのムンバイ、プネを訪問した。インドの文化、人々、教育組織を実際に見ていただくためだ。現地では、インドの文化、生活、教育などあらゆることについて真剣に議論された。私が、インドでのオフショア教育の企画開始して足掛け2年になった。
2006年は、多くの企業が、インドでのIT教育に関心を示し行動を起こすと考えている。機が熟したのだ。グローバルな考え方を持ち活躍できるIT技術者を育成し活躍させることが日本のIT組織の生き残りにつながっている。当たり前のことだろうが、本当に行動することが重要だ。

2005年の春ごろはまだインドでの教育へのお客様の反応は、芳しくなかった。オフショアの失敗により学習していないので、私の説明する意味が分からなかったのだろう。また、お客様は、中国でのオフショア開発により強い関心が向けられていたのだと思うし、何とか成功できるように苦労している時期でもあった。

私は、2001年から中国でのビジネスの検討を始め、上海、武漢、広州、大連など何回も足を運んだが、中国の人々が、日本からの仕事を欲しているという現状を理解できたこと以外に目立った成果は得られなかった。2,3年継続的に会話をして段々と中国の正体が私なりに説明できるようになったのだ。その時期にインドでのオフショア開発の話があったが、私自身、中国とのビジネスを何かしたいと考えていたためにインドの話は、優先度を下げていた。最後に訪問した先が、大連である。大連は、中国の中でも対日感情が良好で、日本語とITビジネスに大変力を入れている地域である。大連では、ソフトウェアビジネスの社長、幹部らと様々なビジネスの可能性を検討したが、日本と大連の一方向的な取引が成立するということだけでその先のビジョンが見えないままになっている。
日本と中国のITビジネスは、その後、様々な努力がなされていると思うが、これはと言える成果を聞いたことが無い。一方、中国で進められたオフショア開発の失敗事例や関係の難しさをよく耳にする。また、同時にインドでのオフショア開発の悩みや難しさの話が多くなってきている。オフショア開発とは、様々な国をまたがるグローバルプロジェクトである。グローバルとは、カルチャーをまたがると言うことである。グローバルプロジェクトを成功させるためには、参画する人々の文化を互いに理解し尊重することが、前提条件になるはずである。IT技術の導入は、この文化の上に乗っかっている。
つまり、互いに文化の理解、尊重無しに「信頼」は、生まれない。よってプロジェクトが、成立しないことは、自明である。しかし、現実には、文化の理解無しに、様々なオフショアプロジェクトが、実行されている現実があるではないか!失敗の要因はそれだけではない、ソフトウェアエンジニアリングの水準が未熟であり、オフショアのマネジメント方法論、開発方法論、情報共有の基盤もなく実施されている。
オフショア開発は、失敗するように設計されているとしか思えない。オフショアプロジェクトを成功させるためには、何が必要であるか追求しなければ、この問題は、解決できない。

私は、以下のことがオフショアプロジェクトの成功要件であると考えている。

  1. 互いの人々の文化の理解と尊重
  2. 共通の言語(英語あるいは日本語)
  3. 共通の技術基盤(ソフトウェアエンジニアリングと情報共有の仕組み)
  4. プロジェクトメンバーの熱意、誠意、信頼(信頼の基盤)
  5. 開発者のコミュニティ
  6. 仕事を楽しめること

ソフトウェア組み込み製品開発、業務系システム開発、ミドルウェアや開発ツールなど多くのITシステムの利用やサービス領域は、国をまたがっている。したがってオフショアプロジェクトは、必至だ。

経営者の皆さん、インドで社員教育をしてみませんか? 国際感覚と問題意識を持った社員を育成し、国際的に活躍できる人のコミュニティを通して高めあい、2010年のビジョンを一歩一歩具現化しようではありませんか!

私は、また、6月にインドへ行きます。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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