私は、ここ数年マネジャを中心とした人材の育成プログラム開発に携わっている。
トレーニング開発で重要なことは、以下の2点である。
これらの点を考慮して開発したコースは、プロジェクトマネジメントの課題であれ、分析の課題であれ、開発手法、テストなどなんでも受講者の関心が課題と一致していれば、満足度も高いし効果も大きい。確立されたプロセスに沿って自分の力で解決策を作成し、発表する。他の受講生も同様の課題に取り組んでいるが、様々な視点で質問をする。講師がコメント、総評を行う。
これらのプロセスを通して、所謂「やり方」を学ぶ。この方法は、プロジェクトのマネジメントのプロセスや開発のプロセスを学ぶためには、大変良い方法だと考えている。
現実の仕事を振り返ってみよう。
今後のIT組織のマネジャに求められることは、「問題そのものを定義すること」である。組織の中で有能だと言われている人を観察すると「問題を自分で定義し、解決策を検討し、実行する。さらに評価している。」
ITの仕事をしている人で、そこそこできると評価されている人の多くは、「決まったプロセスを工夫し実行できる人」ニアイコール「できる人」になっているようだ。これだけでは、今後の世界では通用しないだろう。
IT組織で改革・改善が一向に進まないのは、「問題を発見し定義すること」ができないからである。所謂「問題意識が無いか希薄」ということである。
ピーター・F・ドラッカーは著書の中で「これからの知識労働者仕事で重要なことは、問題を定義することだ。」といっている。
昨年から自社の組織の問題を発見し解決策を導く訓練を開発し、数社で実施しはじめている。つまり、組織の人が自分の問題を発見し、解決策を検討する訓練である。
自分の問題なので納得性があり、解決策を実行できれば大きな効果が得られるし、本当の意味での「問題意識」を醸成できると考えている。
企業の体質や人を変革するのは簡単には行かないが、企業のメンタルモデルの変革に役立てたいと思う。