和魂と洋才のよきブレンド
和魂洋才という言葉がありますが、このコラムにおいては基本的に ブライアン は「洋才」であって、私は「和魂」であったと思います。ブライアンの経験は非常に参考になるものではありますが、日本人の文化や精神構造に反することを取り入れようとしてもなかなかうまくいかないでしょう。「洋才」であるブライアンの言葉を、「和魂」である私が解説したところが、このコラムの読みどころではないでしょうか。
和魂洋才は菅原道真が当時、「和魂漢才」といったことから来ており、外国の文化を取り入れるためのポイントです。自分たちの文化を理解し、自分たちがこれからどうしたいのかがしっかりわかっていることが、異質の文化から学ぶ前提になります。その前提のもとで、ブライアンが経験から導き出した言葉を理解し自分のものにすることが大切です。
とはいえ、日本との付き合いが長いブライアンの中にも、3割くらい東洋的な精神があります。イギリスに学んだ私の中にも3割くらい西洋的な部分があります。ですから、二人の中には洋と和がそれぞれ逆の比率で7:3で存在するといえるでしょう。自分の生まれ育った文化を深く理解し、新しい知識を取り入れながら挑戦していくときに、配合の割合はこの7:3が最適であると思います。
シンプルな言葉に込められている深み
私がブライアンの提示した「今回のキーワード」で、特に気に入っているのが 1回目 「もしも成功へ至る道がまっすぐで見通しのいいものだったら、カーブの向こうに隠されたすばらしい可能性を見つける喜びは味わえない」、 3回目 「なぜ人間には耳が二つあるのに口はひとつしかないのか。おそらく話す2倍は聞く必要があるからだ」、 6回目 「どこに行くべきかがわからなければ、どこへもたどり着くことができない」、そして 7回目 の「ゴールを決めない理由のひとつに“おそれ(Fear)”がある…」です。
1,3,6回目の一言は、成功して喜びを味わうにはそれだけの努力が必要で、ショートカットはないことを示しています。7回目は、「人がいろいろな難題にぶつかったときおそれは阻害要因になる」ということを示し、生きるための注意点です。皆さんも常にチェックしてください。
また、ブライアンの一言の中には、「成功するかどうかはあなた次第だ」という意味のフレーズが何度か出てきました。その人がどれだけ経験を積んでいるかによって、ブライアンのこの言葉の意味は変わってくるはずです。シンプルな言葉は深い意味を持っており、受け取る側の状況や経験量にしたがって、違う意味が見えてくるのがおもしろいところでしょう。
ブライアンも私も、最初から今の自分だったわけではありません。さまざまなことに挑戦し、努力し、失敗を経験してきました。いつもカーブの向こうに隠された可能性を求める姿勢で生きる。それがおそらく今のブライアンを作ってきたはずです。私はこの歳にしてやっと、本当にやりたいこと、やるべきことをしっかり捉えることができた気がします。
みなさんも、手ごたえのある仕事を成し遂げ、自らの成長を感じたとき、このコラボレーションコラムを再読してみてください。そこにはまた新しい発見があることでしょう。