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英国人と日本人


8年ぶりに英国を訪問し、英国のスキル標準推進組織(SFIA)とNPO組織で方法論の普及をしているDSDMの関係者と打ち合わせを行なった。
英国人と接して感じることは、どのビジネスマンも論旨がはっきりしていて、筋さえ通っていれば、納得、同意してくれること。このあたりは大変ありがたい。
日本では、そうは行かない。あきらかに文化的な違いがあるようだ。

英国人の特徴は、よく議論することだ。戦略、目標、ロジックを大切にする。

このことは、パブ(英国の居酒屋)に入ると良く分る。ビターをゆっくり飲みながらとことん議論を交わす。会社の仲間とも飲むが、主流は地元の仲間である。
初めての人ともお構い無しに議論をする。「とことん議論し筋を通す方法論」は、パブが発祥の地なのかもしれない。このような文化からビジネスの論理が構成されるのだろう。(しかし、方法論は完璧だが、作るのは、さっぱり下手でダメなことが多い。方法さえ生み出せば、後は自分の仕事ではないと考えられているようだ。)

日本の場合の居酒屋は、会社の延長線上にある。議論の場というよりは、むしろ発散と癒しの場ではなかろうか。本来であればまず先にはっきりとさせるべきことをさておいて「いやなことを忘れ、発散すること」を重視しているようだ。

私は、「方法論」が良いか「癒しと発散」が良いかを議論するつもりは無い。
両方大切なことだと思う。
論理と精神の健全性の両面で、バランスが必要だ。

日本人は、決まったことを頑張って完遂させる根性と技術はすごいが、最初の企画が、不十分だ。
日本のビジネスマンは、もう少し議論に時間を掛け、論理や方法論を重視すれば、より質の高い成果が得られると思う。

海外に出て良いことの一つは、外から自分達を見つめなおすことができることだ。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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