元々は芸術家同士が、ディスカッションなどをしながら、お互いのアイデアや才能を融合して共同で作品を製作するスタイルの事を言っていたが、90年代の前半から「協働作業」という意味のビジネス用語として定着するようになった。プロジェクトでは企画会議や問題解決策を検討するときなどに、一般的にはブレーンストーミングなどの発散型の会議手法を用いることがあるが、これは計画段階でのコラボレーションといえる。しかし今日のプロジェクトでは、計画>実行>評価>計画修正>修正された実行・・・というPlan-Do-Checkのサイクルのスピードアップが求められてきている。つまりダイナミックなプロジェクト運営がより必要とされてきているといえる。したがってPlan-Do-Checkの全サイクルでのメンバー同士の密な連携作業、つまりコラボレーション(協働作業)が欠かせなくなってきている。
そして今日ではこのことがITによってより効果的に実現できるようになってきた。離れているメンバー同士でもテレビ会議システムを拡張したコラボレーションシステムといわれるものが登場してきている。電子掲示板や、チャットなどでもコラボレーションを行うことはある程度可能である。しかしながら相手の言っていることの言葉のニュアンスや表情から読み取る、いわゆる非言語的なコミュニケーションはそれらではできない。コラボレーションを行う際には、お互いの考え同士を融合させるために、短時間により多くの情報のやり取りができる対面した会話により近いシステムの方が向いている。したがって80年代にまで遡るコラボレーションを支援するシステムの開発研究は、その当初からテレビ会議や図形描写を遠隔で共有する機能が重視されてきた。そしてインターネットのブロードバンド化によって、コスト面なども含めてやっとその実用的な環境が整ってきたといえる。
ただ実際にコラボレーションを進めるためには、そのようなツールだけではなく協働しようとする意志や、個々人の問題対応能力、創造性などの高度な知的能力が欠かせない。決められたルール通りに手順的な仕事しかできない人や、決まったルールや基準のみから評論家的な発想しかできない人同士の活動からは本来の意味でのコラボレーションの効果は得にくい。それは丁度創造的で有能な選手で構成されたチームが、試合の状況変化に対応してダイナミックにゲームを進め勝利するサッカーの試合に似ているからである。