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プロジェクト・タイム・マネジメント(Project Time Management)


プロジェクトマネジメントの最大命題は、QCD(品質・コスト・納期)の管理である。プロジェクト・タイム・マネジメントは、このうちプロジェクト納期を守るための管理である。PMBOKでは、これを「アクティビティ定義」、「アクティビティ順序設定」、「アクティビティ所要期間見積り」、「スケジュール作成」、「スケジュールコントロール」の5つのプロセスで定義している。

「アクティビティ定義」、「アクティビティ順序設定」、「アクティビティ所要期間見積り」ではまずWBSをブレークダウンして明らかになったワークパッケージ(第4号プロマネ用語の基礎知識を参照)を更に所要時間が明らかになる手順や工程レベルまでに細分化する。そしてマイルストーン(プロジェクト進行上の特に重要なイベント)を中心で実行順序を取り決める。通常プロジェクトでは各アクティビティ内は、フローチャートなどでその実行順序を明確にできるが、アクティビティ同士の関係は一種の相互依存の網関係であることが多いので、ネットワーク図を用いて関係の全体性を明らかにすることが有効になる。したがってその実行順序を設定するためにプレシデンス・ダイアグラム法(PDM)やアロー・ダイアグラム法(ADM)などの手法や、その機能を実装したプロジェクトマネジメント・ソフトウエアを用いてプロジェクトネットワーク図を作成することになる。所要期間の見積りは、まずは標準の作業時間を作業に設定しそれを積み上げることが基本になる。この際、過去のその作業の実績情報や、そのプロジェクトに与えられたマンパワー等の有限の資源の配分を考えながら進めることも重要である。

スケジュールの作成では、クリティカル・パス法(CPM)やガート(GERT)、パート(PERT)などの数理解析の技法やツールを用いて最早・最遅の開始日、終了日を理論的に計算し、更に制約条件やコスト、手戻りのリスクなどを考えながら所要時間の短縮を図るシミュレーションを繰り返す。スケジュールコントロールは以上のようにして作成された計画をベースにその進捗をコントロールする作業である。この際、ポイントとなることはスケジュール遅れの兆候をいち早く察知する努力。そしてもし遅れが現実化してしまった場合に、それが後の工程に及ぼす影響を最小限にする予防的な是正措置を早期実施することである。

IT関連の多くのプロジェクトでは、初めて用いるツールへの担当者の不慣れや、デリバリー間もないソフトウエアのバグ、ハードウエアの不安定さによってスケジュール通りに事が進まないことが日常である。また最近では、オープン化が進んでプラットフォームに依存しない環境でのアプリケーションの実行が可能になってきたが、それでもプラットフォームの違いによる細かな設定の違いなどで予想通りに開発が進まないことが多い。ITの世界では「初物」や「初めて」は多くの場合、リスク要因の一つと考えてうまくいかない場合の代替策などを出来るだけ多く事前に考えておくことが有効である。

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