PMBOKではプロセスを「成果を生み出す一連の活動」というように定義して おり、それはまた人によって実行されるものとしている。プロジェクト活動は プロセスによって成り立っているという、プロセスを重視する観点は実に重要 なことである。というのは広くプロジェクトと呼ばれるものの中にはプロセス を明確に定義して進められていないものも少なくないからである。プロセスを 定義することはプロジェクト活動を可視化することになる。またプロジェクト をプロセスという一種の工程の集合として表すことで、初めて成果を生み出す ためのエンジニアリング的なアプローチが適用できるようになる。
プロジェクトのプロセスは2種類ある。一つは成果物指向のプロセス。もう一 つはプロジェクト・マネジメント・プロセスである。成果物指向のプロセスはプロジェクトの成果物の仕様を作成し、具現化する プロセスのことである。これは一般的に要素成果物の完了によって区切られる フェーズの集まりであるプロジェクトライフサイクルの観点から定義され、適 用分野によって異なる。
プロジェクト・マネジメント・プロセスは、プロジェクトの作業を記述し、体系付け、完了させるプロセスであり、PMBOKではほとんどのプロジェクトに共通する39のプロセスを5つのプロセス群(立ち上げ、計画、実行、コントロ ール、終結)に分けて定義している。この中で計画と実行とコントロールに全体の36のプロセスが集中している。またその中でも計画に21のプロセスが定義 されている。計画に多くのプロセスが集中するのは、マネジメントは計画に対 して行われるべきものであることを示しているといえよう。あたり前のことで あるが計画の存在しないマネジメントはあり得ないのである。
一方実際のプロジェクトは、建築やソフトウエアなど適用分野によって実際に成果物を具現化する工程が異なる。例えばソフトウエアの場合は、要求定義、設計、構築、テスト、移行・導入といったフェーズに分けられて段階的に成果 物を生成していくウォーターフォールモデルを開発に用いる場合が多い。したがってプロジェクト・マネジメント・プロセスをこの成果物を生成するための プロセスとうまく重なり合うように適用していかなければならない。